「エンジニアのための データ可視化[実践]入門 ~D3.jsによるWebの可視化」感想

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エンジニアのための データ可視化[実践]入門 ~D3.jsによるWebの可視化 (Software Design plus)
森藤 大地 あんちべ
技術評論社
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データの可視化とは、「データに含まれる事実・示唆を効率よく発見する技術」、「データから発見した事実・示唆を明確に伝える技術」ということができます。本書では、データ可視化の基本に始まり、何を可視化すべきで、誤った考え方は何かなどを解き明かしたあと、JavaScriptライブラリD3.jsの使い方、D3.jsによるWebの可視化のさまざまなケーススタディまで、エンジニアの方がさまざまな業務の現場で直面するであろうデータ可視化の考え方と手法をわかりやすく解説します。

@AntiBayesianさんより献本をいただきました。
ありがとうございます。

感想

オーライリーから出版されたD3本と発売日が近かったこともあって、「D3本」としての印象が強いようですが、本書は「データ可視化」に関する入門書です。
「データの中から重要な事実・示唆を見つけ出す」「見つけた情報を正しくわかりやすく伝える」といったデータビジュアライゼーションを行うために必要な知識や手法について書かれた参考書ですので「データ可視化に興味はあるけどD3はちょっと……」という方や「エクセルでグラフを含む資料を頻繁に作る必要があるんだけど」といったデータ可視化に関わりのある方全般にお勧です。
全体の約半分が可視化に関して基礎となる考え方や知識について、残りの半分がD3.jsを用いて実際に可視化を行う実践編といった構成となっています。

「綺麗なグラフ」や「かっこいいデータビジュアライゼーション」ではなく、「情報を正しくわかりやく伝える可視化」を行うにはプログラミングに関する技術だけでは足りず、別の知識や技術が必要となります。

データビジュアライゼーションの作成にはプログラミングや特定のソフトウェアなどが必要になるため、どうしても可視化を行うためのツールの説明や使い方について書かれた参考書が多く、正しく可視化を行うために必要な技術や知っておくべき知識については説明が足りなかったり省略されていたりするため、「データをグラフィックとして表示する技術は身に付いたけれども、実際に作成するとなんだか分かりづらい可視化になってしまう」ということが多々あります。
場合によっては意図せず情報を歪めて伝えてしまうデータビジュアライゼーションになってしまうこともありとても危険です。

本書では「データ可視化の歴史」から、「何を可視化するかをどうやって決めるか」「データの中から誤った事実を見つけ出したり間違った情報を伝えてしまったりしないためには何に気を付けるべきか」などについて丁寧に説明されています。
可視化作業を行う際に、第5章の「5.6 誤った可視化をしないためのチェックリスト」を使ってチェックを行うだけでも誤った可視化を行うリスクをかなり減らせると思います。

私が今まで読んだことのある参考書のなかで、「データを正しく可視化するために必要なスキル」について特化して書かれた本としては、オライリーの「デザイニング・ビジュアライゼーション」がありますが、あちらがデザイナー(情報デザイン)的な視点から書かれた内容なのに対して、本書はより統計学的な目線から書かれている印象を受けました。

ちなみに、どちらの本でも「3D円グラフ死ね」は共通してたりしますw
(もちろん、そんな直接的な言葉で記述されてはいませんが)

D3.jsはJavaScriptのChartライブラリの中でもかなり柔軟に様々な表現が行えるライブラリだけに、ともすると目的を見失いがちになったり、分かりづらいグラフになってしまったり、誤解を招くような可視化を行ってしまうリスクが高いので「改めて誤った可視化を行わないように気を付けないといけないな。」と思いました。

(といいながら、このブログの下書きに「D3.jsとThree.jsを使って3D円グラフを作成する」という書きかけの記事があったりするのですが。まぁ、そういうことができてしまうライブラリなのでより気を付ける必要があるということですね)

D3.js本としてはどうか?

まず付録としてD3.jsのAPIハンドブックがついてくるのですが、これがとても便利です。APIリファレンスが掲載されているD3参考書は今のところ無くネット上にも日本語のドキュメントがほとんどないのでお勧めです。

ただ本文の中で書かれている内容は「D3に全く触ったことが無い」という方には少し難しかもしれません。とくに一部のサンプルコードはCoffeeScriptで記述されているので、その点でも馴染みのない方にはハードルが高く感じられるのではないかと思います。

D3というライブラリについてとにかく一から学びたいという方は、オライリーから同時期に発売された「インタラクティブ・データビジュアライゼーション」を先に読んだ方が理解しやすいと思います。

備考

電子書籍版が出版されたそうです。
エンジニアのための データ可視化[実践]入門 ―D3.jsによるWebの可視化 | Gihyo Digital Publishing

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