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群馬県の片隅でオープンデータとデータビジュアライゼーションとGIS(地理情報システム)に戯れるエンジニアのブログ

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『中学生の6割は「月は西からのぼる」と信じている』というアンケートの結果を可視化してみた。

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山本弘のSF秘密基地BLOG:中学生の6割は「月は西からのぼる」と信じている。(1)

話題になっていたので見てみたが、数値だけみても良く分からなかったのでD3を使ってスタックバーチャートを作ってみた。

中学生アンケート

Demo

正解を定義する

各設問に対して、ブログ記事の内容からアンケート制作側が「正解」と考えているであろう答えを想定し集計した。なお、「やや信じる」は「信じる」に、「やや疑っている」は「信じない」に統合して集計している。

設問、「6, 20, 21,23, 24」に関しては記事に結果が掲載されていなかったため省いている。

id 設問 正解 正答率(%) 不明率(%) 誤答率(%)
1 地球は太陽の周囲を回っている。 信じている 82.2 9.6 8.3
2 太陽は東からのぼり、月は西からのぼる。 信じない 18.8 21.4 59.8
3 月の表面には呼吸できるような空気はない。 信じている 59.5 26.8 13.8
4 月の表面は無重力である。 信じない 28.5 19.7 51.8
5 かつてアメリカの宇宙飛行士が月面に立ったことがある。 信じている 76.2 16.1 7.8
7 彗星は夜空を一瞬だけ流れて消える。 信じない 21.6 39.8 38.5
8 人工衛星が落ちてこないのは高すぎて地球の引力が届かないから。 信じない 20.6 40.5 38.9
9 恐竜が地上で栄えていたころ、人類はまだ存在しなかった。 信じている 63.3 16.9 19.8
10 大きな地震が起きる前には「地震雲」が発生する。 信じない 23.4 37.7 39.0
11 地震が起きることをふしぎな力で予知できる人がいる。 信じない 42.2 22.5 35.2
12 50年前に比べて、日本の少年犯罪は大幅に増えている。 信じない 10.1 32.5 57.4
13 マイナスイオンは健康にいい。 信じない 16.3 37.0 46.8
14 水素水は健康にいい。 信じない 26.1 26.1 47.8
15 タバコをたくさん吸う人は肺がんになりやすい。 信じている 88.9 7.2 3.9
16 ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる。 信じない 22.0 30.3 47.7
17 血液型でその人の性格がわかる。 信じない 37.5 13.4 49.1
18 人間の体から出ている「オーラ」を見ることのできる人がいる。 信じない 41.2 24.1 34.7
19 超能力は存在する。 信じない 33.8 19.1 47.2
22 超能力者は行方不明の人を見つけるのに役立っている。 信じない 32.2 28.1 39.7
25 水に「ありがとう」と声をかけるときれいな結晶ができる。 信じない 43.0 24.0 33.0
26 ピラミッドは宇宙人が作った。 信じない 58.9 26.0 15.1
27 太平洋には「ムー大陸」が存在した。 信じない 21.0 56.7 22.3
28 バミューダ海域では船や飛行機が消滅することがよくある。 信じない 17.3 46.3 36.4

誤答率の高かった設問

アンケート 不正解
驚愕の誤答率6割越えの設問「太陽は東からのぼり、月は西からのぼる」だが、これを科学知識の問題と捉えるか、国語力の問題と捉えるかは微妙なところだ。

そもそも基本的な科学知識を問う設問に「信じる」「信じない」という個人の思想信条や価値観によってゆらぎのでる回答を設定するのは適切ではない。また設問が「太陽は東からのぼる」と「月は西からのぼる」という2つの内容を問う、ダブルバレルになってしまっているため回答の内容にブレが生まれてしまっている。
一つの設問の中に二つの問い、とくに相反する問いが含まれてしまうと回答者がどちらの質問に(あるいは両方に)回答しているのか集計したデータから読み取れなくなり精度が落ちる。
例えば、この設問に「信じない」と解答した学生が、「太陽は東からのぼる」ことにたいして「信じない」という回答をしている可能性もあり、それは集計したデータからは判別できない。

アンケートはクイズやテストでないので、紛らわしい質問や「ひっかけ問題」的なものは回答の精度を落とすだけなので不要だ。この場合は、単に「月は西から昇る」と聞く方が良い。
ひっかけ問題的な設問があると、回答者が「この問いにはアンケートには何か隠された意図があるのでは」「試されている、騙されているのでは」と身構えてしまい、その後の回答でのノイズが増える。

第二位の「50年前に比べて、日本の少年犯罪は大幅に増えている。」は、正答率がもっとも低く多くの生徒が少年犯罪の増加を信じているようにみえる。その後に「血液型」「水素水」「ゲーム脳」「マイナスイオン」と続くところをみると流布された説に関しては割と素直に受け取っているのかもしれない。一度広まってしまうとなかなか打ち消すのが難しいのだろう。

「無重力」に関する設問は大人でも勘違いしてしまう人は多そうだ。「引力」に関する設問も「しらない・わからない」という回答が多いことを考えると、この辺はもう少し授業のなかでサポートがあってもいいのかも。

「超能力」については、中学生ということを顧みれば「信じる」という生徒が多数いるのもわからなくはないし、「信じる」という回答には「信じたい」という気持ちも含まれているのかもしれない。
むしろ、信じる・信じない以前に「そうだ!俺がっ・・・俺が超能力者だ!」と考えている生徒がいたっておかしくない。
正しい黒歴史大事。

正答率が高かった設問

アンケート 正解
タバコの健康被害に関しては、ほとんどの生徒が「信じている」と答えていて、「しらない・わからない」「信じない」と答えた生徒はごく少数である。
この辺は学校の授業のなかで知る機会も多いだろうし、中学生にとって身近な話題なんだろう。

正答率の高い設問は、不明率(しらない・わからない)が低くなる傾向があるので、「確信をもって答えられる設問に関しては、多くの中学生が素直に答えている」とみて取れる。

不明率(知らない・わからない)が高かった設問


「ムー大陸」や「バミューダー海域」など、今の中学生は知らんだろうなという設問が上位に来ていることからも、しらない・わからないことに関しては素直に「わからない」と答えている姿がみえる。

ちなみに「バミューダー海域」の設問では「信じている」と回答した生徒の比率も高いが、これが「バミューダー海域」を知った上で信じているのかかどうかはこの設問からは判別できない。
マレーシア航空機の消失事件などのニュースと勘違いしている可能性もありそうだが。

まとめ

中学生の科学リテラシーを調査するアンケートとしては、適切な設問になっていないので、この結果をもって『中学生の6割は「月は西からのぼる」と信じている。』と言ってしまうのは乱暴だろう。
むしろ、中学生たちが混乱しながらもちゃんと回答しようという姿勢がみて取れて、それだけにもったいないなと思った。

About Me

著者: 清水正行
所在地: 群馬県高崎市

群馬・東京間を行き来する出稼ぎエンジニア。GIS(地理情報システム)・データビジュアライゼーション・オープンデータなどについて書いてます。