「大いなる沈黙へ」観てきました。

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大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院

カトリック教会の中でもとりわけ厳格な戒律で有名なグランド・シャルトルーズ修道院で、日々の務めに励む男子修道士たちの姿を追ったドキュメンタリー。人里離れた場所で自給自足の生活を送りながら毎日祈りをささげ、質素な生活の中で生涯を過ごす修道士たちの日常をカメラが捉える。メガホンを取るのは、ドイツ出身のフィリップ・グルーニング。構想から実に21年を経て実現した、中世から変わらぬ修道院のありのままの映像が心を揺さぶる。

2時間49分におよぶ長編ドキュメンタリー、しかもBGM無し、ナレーション無しという異色作です。
この作品の撮影のために監督は約半年間、シャルトルーズ修道院で修道士たちと寝食を共にしたそうですが、その6ヶ月間の生活がこの2時間49分にギュッと凝縮されています。
視聴者も監督同様この修道院のなかでともに生活している気分になれるからでしょうか、非常に長い作品ですが不思議と退屈することなく楽しめました。かといって、「あっという間に時間が過ぎてしまった」というような興奮がある映画でもありません。
この映画を楽しむには、ひとえにシャルトルーズ修道院や修道士の生活に興味が持てるかどうかにかかっています。

修道士の生活はとにかく極端に研ぎ澄まされています。
一日の大半を一人で過ごし、他の修道士との会話は日曜日に行われる4時間のウォーキングの時にのみ、それ以外では私語厳禁。もちろんインターネットはおろか、テレビもラジオもなく、日中の大半は祈りと聖書を精読することに費やされます。
この繰り返しの日々が生涯続きます。

日々雑多な情報に囲まれ、一分たりともネットのない生活なんて考えられない!というネット中毒な自分にはたとえ1日でも耐えられないと思いつつも、どこかこんな世俗から切り離された生活へのあこがれが自分の中にあることに気付かされます。

とにかく自然光で撮影された映像がまるでレンブラントの絵画のように美しく、また静寂の中に響くさまざまな音がホント耳に心地よく……心地よすぎて、万全の体制で観に行かないと抗いがたい眠りに誘いこまれますw

私は平日の夜に観にいったため、あまり他にお客さんもおらず静かな環境で観ることができたのですが、この映画を楽しむにはそういった環境もとても重要です。複数人で見に行くような映画でもないので、独りで空いている時間を見計らって観に行くのが良いと思います。前日は早めに寝ましょう、寝不足の状態で観に行ったら確実に寝ます。

美しい映像と心地良い生活音が好きな方なら間違いなく楽しめる一作です。

余談

ちなみに、フィリップ・グレーニング監督インタビュー記事があるのですが、下記エピソードが微笑ましくて好きです。

フィリップ・グレーニング監督インタビュー

―――猫に話しかけている修道士もいました。

PG:彼はずいぶん猫と喋っていましたよね(笑)。あれは厳密に言えば戒律を破ったことになりますが、私はあのシーンを使いたいと思ったので編集で残したんです。それで映画が完成した時に修道院側に見ていただいて、もし「カットしてくれ」と言われたらそうするつもりでいたんですが、そのシーンを見ると彼らは大笑いをして、「本当はこれは駄目なことだけど、もうやったことだからそのままでいいですよ」と言われました。

やっぱり、猫は偉大だw

大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院